Projection/木葉 揺
ットトリックしてもひとコマが3回、
床の間の黒さに溶け込んで
「晩年のチャーチルか!」
って不満の声を漏らすだろう。
だから私はひとコマを大事に外でリフテ
ィングをした。
黒い蝶々みたい。
ヒラヒラ、ヒラヒラ
つられてのこぎりも
クネクネ、クネクネ
「君たち悪あがきもそこまでにしなさい」
私は愛情込めてそう微笑んで、
ヒラヒラとクネクネを連れて家に入った
闇にポッカリ金鎚が浮かび
一回転して地面に落ちる音が聴こえた
断腸の思いだった
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