「たちつてと」(「五十一のデッサン」より)/たもつ
 
(た)

たーちゃん
僕は「たもつ」だから
君は僕を
たーちゃん
と呼ぶ
たーちゃん、それとって
たーちゃん、あれしまって
たーちゃん、どう思う?
君の声に
溶けかかった僕は
瞬時に境界線を取り戻して
僕と僕でないものは識別される



(ち)

ちぢんでいく
ちぢんでいくよ

君もそして僕も

まるで雨上がりのアスファルトにある
まだ見たことの無い物質のように

すべてのものは急ぎの用で満たされ
沈黙の波紋に追いついていく

どんなに微細な粒子になっても
つないだ手を離しはしないと
すでに決めていた



(つ)

つる
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