空への手紙/蓮見
。
早く会って、いつものように「おかえりなさい」と言うんだ、何かの間違いだ、
そう確信するために。
しかしあなたは白いベッドに横たわり、白い布をかけられ、
冷たく、なっていましたね。
薄く残っていた赤黒いあれを、ぼくは未だに忘れられません。
そしてあなたの顔も。
思い切り泣きました。
葬式の席で、思い切り。
人目も気にせず、ただもうあなたに会えないんだという事実に、
深い悲しみが押し寄せてきて。
(母さんも泣いたんだよ。)
ずっとあなたにつきっきりになって、その背中を
ぼくは知っています。
あれから、もう12年も経つんです。
その間に、おばさんも、おじいさんも
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