梅雨時/新守山ダダマ
風呂に入るとなめくじがいた
たいていの人はここでキャーあるいはギャーとなって
塩か砂糖か胡椒か何かを持ってきて
ヤツを殺しにかかるのだろうが
俺は別段気にならないし
こんな生き物でも殺すのはかわいそうだから
平成の徳川綱吉になったつもりでヤツを放置した
するとなめくじは安心したのか
伸びたり縮んだり、壁を登ったり下りたりして
はしゃいでるようだった
湯舟に浸かりながら見ていると
こいつも健気な命じゃないか、かわいい所あるじゃないか
なんて思って、心が和んでしまった
俺はだいぶ湿っている
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