ヌード/
八布
むき出しの腕を風が滑っていく感触は、
洗いたてのシャツに袖を通した時によく似ている。
ペダルを踏み、耳の後ろで逆巻く風を感じながら、
夏がくるのだ、と君は思う。
街の影が素肌を流れる。
皮膚の下で蠢くものに、
君はまだ名前を付けられずにいる。
首筋の汗は新しい印。
少女の季節はあまりにも短い。
光の束が素足の隙間に滑り込む。
薄皮を脱ぎ捨てて、君は今、
おっかなびっくり、核心に触れる。
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