(はゆ)風の思慕 −加藤大次郎に−/クリ
推理だと言う僕の主張に元カノは激昂した
「別れたくせに」と
僕は憤懣やる方なき思いを言葉に託した 「この亜鉛不足の味覚音痴馬鹿」
意味が分からなかったらしく それは効かなかった
知りようのないものを知ろうとする輩がいる
例えば、語られない台詞を教えろという観客だ
『ブレードランナー』のマニアには多い 彼もまたレプリカントだったのだろうか と
語られなかったものはいつまでも語られない 監督は語る気がないのだ
そうやってすこっと大作を撮りたくなってしまう
…そうするうちに 伏線を理解できない阿呆もいるわけだ
明日の悲劇を暗示して終わるハッピー・エンディングを消化できず
「あー
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