森の序章??デッサン/前田ふむふむ
 
深い眼差しを、
赤く朝焼けした巨木におよがして、
動きだすふたりの直きせせらぎが、
ふくよかな森の奥行きを高めて。

始まりは、乾いた無音を燻らせる、
茫々とした朝霧を追い越して、
あさい新緑のつま先から、
あざやかな黄金の中庭を靡かせる。
東の透ける窓から、ひらかれた夢が、
処女を際立たせる薄紅色の言葉を
携えて、鶏々の背中を叩いてゆく。
起き上がる静けさが、せりだして、
霞を落とし去り、ひとつひとつ、
夥しい色彩を染めてゆく。
浮き上がる森から、
わずかにずれる緑色の濃淡の底が、
うすく立ち止まる朝に、清々しい息吹を、
緩やかに立ち上げる。

あなたは、
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