ふたり海/明日葉
 
あおくひろがる海
きんいろの空の境

ひかる波も白雲も
遠くて浜
ふたりで歩いて浜

ただ この一時だけでも
私とおなじく想ってくれれば


仰いではみおろす

  ―(わたしは)しってる

黒い背中があたたかいのを


古いトランクに押し込んだ
共有する時と想い


しめってぬるい風
すあしにからむ砂

はいた息も憂鬱も
霞んで浜
ひとりで戻って浜

ああ まき貝は脆くとも
貴方が捨てなさいと言ったら


誓いも一瞬の快楽

  (わたしも)しってた

しらなかったのは唯の喜劇


そそくさとこしをかがめて
もと来た路へ帰る
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