暗い日曜日/六崎杏介
トレイに紙を入れトイレを済ませ机での何時もの朝
ある時黴の付いたカルキ臭い水槽の中に私の症状が
見つかる私はゆっくりとそのネックレスを取出して
三つの神々に渡したが黒い真珠を一つ秘匿のままに
これが真実であると幾度もアルト発声で頼み込むと
ガラスの割れた窓から火星のマルスの青い鴉が入り
タルトの上の私のパールを羽ばたき觜に挟み逃げる
タルトの甘さに酔う鳥とノアの船がテニスコートに
正午の鐘が一度だけ鳴り響きポートワインが砕けて
鴉の觜に挟んだ黒真珠の影に潜行する暗い韻の呪文
地下シャボンの幾何したネガ・虹彩が変光星を威嚇
それを知覚する地下の骨に場違いな少女が蝶結びし
蟻と
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