「 蹴球時感、一。 」/PULL.
 






奇術には、
タネもシカケも、
ある。
だからこそ、
再現できるのだ。




前任者のTは、
こう言った。

「わたしの教則本は、
 五百ページある。」

だが実際には、
数十ページしか、
なかった。

それでもTは、
二つ勝って一つ分けて、
十六まで残った。

では、
今のZの教則本は、
何ページあるのだろうか?。

そもそもZは、
監督としての教則本を、
開いたことすら、
ないのかもしれない。


ブラジルの十番。
それは、
少年時代の憧れであった。

セレソンの十番。
選手として、

[次のページ]
戻る   Point(5)