裸足/砦希(ユキ)
愛し合いたいと思うことはあまりにも簡単で
それでも消えないのが憎しみや怒り
今も高いビルのうえから
誰かが飛び降りて死ぬのだろうか
自分で死ぬのは勇気がいることだと
誰もが口をそろえて言うけれど
間違った世界に生まれてきてしまった僕らは
死ぬよりほかに生きていく術なんてなかったんだ
赤い花が 咲いたよ
雨なんて
消えてしまえばいいのに
雨降りの夜は
誰かの泣き声がよく聞こえる
片腕の戦士の掌そのうえに
青き一羽の小鳥の死骸
赤い花が 咲いたよ
雨降りの真っ暗な夜そのむこう
裸足の少女がどこぞへと向かう
きっとかのじょだって
しをもとめているんだ
咲いたばかりのその花を
摘んでしまえ 摘んでしまえ
咲いたらあとは
枯れるしかないのだから
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