アンダーグラウンド/霜天
 
、離れていくらしい
次の順番を考えながら
いつもその背中、を抱き留めたいとか思ってしまう、のは
君は目を閉じたまま、何も見せない表情で
窓の隙間から零れていきそうになる、から
離れていける、その日のために
深呼吸の練習を
いつも、繰り返してしまう



エレベーターの階数表示は
今日も追いつけなかった
少し沈んだ東京の
その分高くなった空は
円い輪郭をいつもより主張して
僕らから、忘れられないようにしている



今も、今も一緒だったものが
同じ眠りに暮れていく、なんて誰も言えない
空に手が届くうちに
深くなる声が響く前に
この街の離れていく約束の、その日まで
僕は僕を君と君を、抱き留めていたいといつも
考えて、しまう
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