「 やかん。 」/PULL.
待て、
蝸牛の例もある。
ここは慎重に考えた上で、
判断せねばなるまい。
この無骨な注ぎ口は、
おとこのあれに見えぬでもない。
だが本体の見事な曲線は、
おんなの尻を連想せずでもない。
うむ。
蓋の形状は、
おんなの乳房に似ておる。
ではあのぽっちは、
乳首と乳暈か。
それなら得心がいく。
どおりでいつも、
摘み心地が好かったはずだ。
決まった。
やかんはおんなである。
そうと決まれば、
遠慮も躊躇も、
へったくれもない。
このやかんめが、
存分に辱めて、
責めてやる。
視線を戻すと。
にゅると、
やかんは蕩けて、
おった。
了。
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