祖国/霜天
日を、寄り掛かる呼吸を添えるように
思い出して
初恋の脈拍が静かに通り過ぎます
あの角を曲がれば、またカーブばかりなので
それでもと、正面から何かを掴みたくなるので
円い夕暮れをいつも繰り返しているのです
雨の休日に、約束に少し目を閉じて
安息は帰ります
過ぎていく一日や、いちにちは
もうどこにも積み残しはありませんが
それでも吐き出した命のようなものが
確かに沈んでいくので
眠る日のことを考えるのです
幼く駆けていく言葉はどこへ去って行きましたか
空を突き抜けろ、と思うばかりです
笑いながら泣けるのが人、ならば
ここには人ではないものがたくさんの息をしている
騒がしさが駆け抜けていきます
人々の目線は、それを追い越して
ただ、助かれと願うのです
安息は帰りましたか
こちらでは同じことばかりが顔を背けて
静かに戦いが始まっていきます
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