記憶遊び/明日葉
 
暗い窓枠の隅で
夏虫が遠慮がちに
ヂィリヂィリと鳴いていて

OA機器の明かりは
てんでばらばらに部屋へと落ちる

何故か
貴方を思い出したんだ

まだ髪は黒くて
桃色の膨らんだ頬は若さをにじませ
根拠のない自信であふれていた

それに
僕は無闇に期待してしまった
良いことも悪いこともあったし
良い所も悪いところも見せ合った

あの日の人生設計は
とんでもなく進路変更して
いま、結構幸せなんだ僕

3年前の抜け殻も

とっくに
袋に入れて月曜日に出しちゃった

苦くて嫌いだったコーヒーも
ミルクと砂糖を入れて
美味しく飲んでるんだ

君は変わらず苦手なんだろう

こういう夜は何か
溢れてくるんだ絶対

カップの底に溜まった澱のように
溢れてくるんだ絶対
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