銀紐の綱渡りは道化師を落としたか/maumi
 
空中に浮かぶ銀の紐
綱渡りする道化師が一人
バランス棒を忘れたと
誰に言わずもなが泣き目のアート
口元の笑い

化粧した白塗りは
汗を弾きはするが遠目には判らず

今まさに踏み外さないのは
神々の悪戯か
それともキャリアなのか

落ちるその時に
群集の顔が小説色に変わるそれは
リアル過ぎた赤い広がりを見せる絨毯のように
心狂おしく光るすべての憎悪に
先制パンチの一つでも
君の心に入れられるか

カルーアミルクのように
甘口な舌触りではなく

鉄を舐める真剣のように
ただ落ちふ前に君の名を叫びたい

落ちながら叫ぶ君の名を確かめる為に
僕はバランス棒を持たずに銀の紐
綱渡りしているのではなかろうか

本当に君の名を叫ぶと思ふか

それは
この頬を伝う汗が床に落ちる頃に
わかるだろう

ただ君には聞こえないかも
しれないがね

空中に浮かぶ銀の紐は
重力に曲がっているか
浮いているか

下からの景色では
わからない

そんなこともあるのだよ



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