午後とめぐり/木立 悟
 



曇りの幌につつまれ
ふたたび生まれ ふたたびねむる
陰に刺さり
縦にかがやき


空のろくろ
空のふいご
枝々を巻き
高く きしむ


ひかりが動き
動きがひかり
刃にもなる
力にもなる


夕焼けを
膝のうしろに隠し
濡れた草にうつむく
海のにおいの庭


金と緑と
綿のいのちの森をかきわけ
霧の器の響く道
糸の滴の響く道をゆく


わたる風に
聞き耳をたてる新緑の
やわらかな尾にうもれる笑み
まなざしを描く陽
空めがけうたう野
声の羽にうもれる寝顔


水を見る目 水を見ない目
目はふたつの重なりなのに
いつも片方だけで見てきて
もう片方がうずき 火照る


踊り場の窓に生まれるかけら
手をつなぎ
階段を降り
雨のひかりにふりかえる











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