潮風/蓮見
 
深い海の黄昏に
波は僕らを呑み込んでゆく
そこには嘘も偽りも
なにもかも意味をもたなくて
あるのはただ
切なさだけで

海はそこで
潮風を残して退いて
あしたが来るのを待っていた
そして僕らは
確かな意味を待っていた
こんなにも泪を流しながら
こんなにも、潮っぽく
戻る   Point(0)