黒いビル/.
 
闇が完成度を増して体温を奪っていった
わめくテレビの音量も増すばかりで
寄り添う意味を静かに飲み込んでゆく
此処にバスは停まらないらしく
誰も近づくことはなかった



何処にでもあるような優しげな言葉を並べ
その傷を舐めあうことみたいに
ありふれたできごと
ありふれた僕は

完成された曖昧さを
なんとなく許しあうことで
その場を取り繕っている

時は過ぎてゆく



雨音はまだ続くだろうか
もうこの傘は此処に置いていこう
今でも意味のないことばかりで年を重ねているよ
あわよくば君を待ってる

もう少しで闇が完成するみたいだ
黒いビル街が生命のやりとりを拒んで
空がやけに冷たくなって
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