*雨にさらわれたあしたへ*/かおる
 

順繰りに咲き誇る花々は
緑に浮かぶ星の煌めき

晴れ晴れとジューンブライドになるはずが
ほんのちょっぴり なみだ顔

夜の帳の降りる時間も
知らぬ間に間延びして
雲がたれ込めているからか
太陽も挨拶せずに消えていく

街の陰影を黒く浮かび上がらせる頃
真っ白なペラペラの弓張月が宵闇に浮かんでいた

パパとママに見守られていたあたしのあした

暢気な娘の時代から
巣立つ寂しさと哀しさの涙が溶けた雨に
さらわれてしまったよう

あたしはあす、りょうのお嫁さんになります

昨日から今日へと地続きだったあしたとは別の
新しい扉を二人で

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