嫌われ者/Tommy
 
幼いころからクレヨンに嫌われていた。
僕がクレヨンを握って紙にあてても
クレヨンは色を出すことをかたくなに拒んだ、
紙は真っ白のままだった。

僕のほうでクレヨンを嫌ったことはない。
鉛筆や色鉛筆や絵の具とかわらず
クレヨンも大好きなはずだった、
色がつくならば。
どうした訳か(おそらく生まれたときから)
僕は全世界のクレヨンに嫌われていた。
どのクレヨンを握っても色はつかなかった。

障害のある子供たちの学校に行ったら
みんなクレヨンで絵をかいていた。
目のみえない子が 黄色のクレヨンを握ってすべらすと
画用紙は明るい光にあふれた。
握力のよわい子が 赤のクレヨ
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