あるいは書かないでいて、さえも。/佐々宝砂
 
が、その場合、私は「AとBに言及したくせにCについて書かない」ということによって、Cを疎外している、とも言えるのだ。AとBまで書いたところで疲れてやめちゃっても、話は同じで、わざと疎外したんでなくても、疎外したっていう事実は変わらない。

書かないでいれば書かないでいるだけ人を傷つけることになりかねない。なにしろ無視は愛の反対語なのだ。無視ほど人を傷つけるものはない。しかし、ABCと書いてほっとしても、今度はDが出てくるかもしれない、というか絶対出てくる。DをこなしたらきっとEがでてくる。Zまでやったら今度はアがでてくるであろう。キリがない。

一度何かについて書いてしまったら、もう書き続けるしかない、かもしれない。
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