笑顔の連鎖/山崎 風雅
 
 まどろむ中で目が覚める
 ここはどこだ?

 一瞬自分が誰かも
 どこに住んでるかもわからなくなっていた

 それにしても静かだ
 土曜日の朝
 少し曇りがちな朝
 ひんやりとした朝

 昨日は義理の父に会った
 厳しい人である
 しかし子供を抱いてる姿は無防備で
 顔がほころび満面の笑顔

 厳しさは優しさの裏返し
 
 義理の父
 母
 妹
 麻理菜と名づけられた赤ん坊

 久々に血の温もりを感じて
 身体中が喜びで満たされた
 
 コンクリートの冷たさで
 寂しさに慣れきってしまっていた僕は
 その温もりに少し涙が滲んだ

 家族っていいなぁ
 かけがいのないものだなぁ

 ふつふつと元気が湧き立つ
 一人じゃないことに
 気づかせてもらえた
 その喜び

 こんな僕でも
 幸せの片隅に交じれたことに
 感謝する

 
  身内での心通わす団欒に

    我(われ)が目にする笑顔の連鎖


 赤ん坊が抱っこをねだって泣いている






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