吼/蛙の子
哀れで愚かな 魔物が恋をした。
醜く恐ろしい 嫌われ者の魔物が恋をした。
美しい姫君に恋をした。
心優しく気高い 姫君に恋をした。
決して許されぬ恋と分かっていても
この想いだけは隠し切れぬと
毎夜魔物は姫に会いに行く。
誰にも気付かれてはならぬと
ひっそり会いに行く。
「此処で見ていれるだけで幸せだ。」
最初は魔物もそう思っていたさ。
けれども姫を見るたびに
更なる欲を募らせる。
話したい 触れたい 愛したい 愛してほしい
身分違いと分かれども
この想い抑えきれるのなら
疾うにそうしていたはずだ。
会いに行くのを止められなかったの
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