横になる、夏。/夕凪ここあ
 
無言のまま階段を上がる
放課後。
誰もいない校舎でひっそりと息をしてる僕ら
先生が来るといけないから、と
なるべく音をたてないように
階段を一段一段

手だけを繋いで
まるで心臓がそこにあるようで
僕たちはきっといけないことをしようとしていた、夏の日

鍵は壊れていて
扉の内側に簡単に触れてしまえる
一度、自分のものか君のものかの体温を確認してから
中に入った


屋上のフェンスが気にならないくらいの場所に
二人で寝そべると 空が
いつもよりは近くに感じた
僕たちは手を繋いだまま離さずに
ゆっくりと空が夕焼けを取り戻していくのを見ている

君は膝が見え
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