夏至点/落合朱美
色のアイスを薔薇の花弁の形に盛り付け
子供たちから歓声があがる
その器用な指先は永い苦労の末の安穏を物語り
穢れをどこかで拭い去ってしまったように見えた
人というものはきっと
無色に生まれてしだいに色づき
そしてまた無色に還るものなのだ
それは色褪せるのではなくて
澄んでゆくものなのだろう
あの日
振り返れば堂々巡りの人生だったと
呟いたあと目を閉じたあの人は
けれど太陽の描く輪の中で護られて
いつかまた無垢な生命で生まれ変わる
私もやがて
同じように澄んでゆくのだろう
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