夏至点/落合朱美
 

真昼の公園で木漏れ陽を浴びて 
癒える筈のない悲しみのことを考えていた 
ときおり吹き抜ける風はすこし熱を帯びて
客待ち顔のアイスクリーム売りの老婆の 
麦藁帽子を踊るように撫でてゆく 

あの日 
あの人の瞳の奥に映った淋しい翳のこと 
最期に握った手の力の強さ
渾身の力をこめた指先が紫色に震えていたこと
握られた手首には指の痕が残っていたことを
泡沫のように思い出しては仕舞いこむ

太陽はいちばん高いところで穏やかに微笑み
砂場の子供たちは無防備に手を伸ばす
爪の中まで泥に塗れても
その手は穢れることをまだ知らない

アイスクリーム売りの老婆が
二色の
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