木星にくる電話/ZUZU
きのう木星で
くるはずのない電話を待っていた
土星の輪にちりばめた宝石は
帰って来ることのない
遠い遠いおもいでのように
押入れでみた走馬灯のように
はるかな点滅と軌道をめぐっていた
あんなに楽しかった昨日が
ぼくの永遠を統べてしまった
ひざをかかえて
遠くて近いテイルランプの照らし出すへやで
くるはずのない電話を待っていると
ぼくは雨のなかを浮遊する
濡れない蛾のように
ふれられない淋しさを粉にして撒きちらす
ひざをかかえて
すりむけたゆめを
木星の鼓動に
かたむけたままで
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