真昼の月/石畑由紀子
 
 
いつものことだけれど
早々に月がやってきたので
まだ授業は始まらないわよ、と
太陽に聞こえないように
こっそり耳うちした
けれど
待つのは嫌いじゃないから、と
頭をぽりぽりかきながら
自分の机に座って雲をながめている
あんなふうに言うけれど
実は教室一番乗りにこだわっていることを
私は知っているのだ


出席簿に
「○」
を付けて
三時の紅茶をいれにいく




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