小鳥/渡邉建志
 
走馬灯がまわり終わったので
私は森に行きたいと言う
彼はちからづよい腕で
私を針のように持ち上げる

空はぬあーと曇っている
森の中に広場があり
むかし私たちが戯れたベンチがある
彼が木を切って作ったのだ
   
私をベンチに横たえると
彼は花を摘みに行った
目をつむっていると
光が雲と森を抜けてきて広場を明るくする
ベンチがやわらかくなってくる

 
鳥がどこかで鳴いている
パド・ルー
パド・ルー
 

彼はどこかで花を摘んでいる
パド・ルー
パド・ルー
 

私のなかに闇がひろがる
 

光の広場で動かない私を
恋人は花時計にするだろう
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