誕生日/霜天
 
嵐の夜、だったらしい
水底を叩くように
爪先立ちで歩く恋だったらしい
苦しくない呼吸で、まだ淡い空を見ていた

今、街は静かに水没して
新しい水面を探している
六月の底辺は、眼鏡なしで目を開けるには少し痛い
息継ぎをしに行こう、これでも昨日よりは上手くなれた


シャボン玉、作る
雨は底を見せずに続く水曜日
水底から昇る泡は僕らの一つひとつ

おはようの代わりに手を振ることにした
ようやく僕らはここに辿り着ける
淡いもの、今、震えるようにして浮上する
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