Cats/みつべえ
た声で思いの丈を述べた。聞き耳をたてると、それはラッタにとっては歯の浮きそうな甘い言葉の羅列だった。
(げげっ、なんて不気味な野郎だ)
でも呪文を使わないと、いつまでたってもニャンニャンできないぜ。ラッタは自分にも可能性が出てきたことを喜んだ。
案の定! ガボは終いにはエカテリナに追い立てられ、すごすごと姿を消した。
それを見たガボは、ここぞとばかり、ネコなのに脱兎のごとく飛び出した。
エカテリナは一瞬たじろいだが、またもや新手の求愛者が来たのか、やれやれ、といったふうにラッタに向き直った。その態度には、てきとうにあしらって早く追い返してしまおうという思いがありありと窺えた。それ
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