海とつながっている/銀猫
 
海と繋がっている

照り照りとした
小さなオパールをつまんだとき
海水の温度のようだった

人いきれにむせる空気の中で
そう感じたのは
単なる錯覚ではなく
この生命の何処かで
潮の満引きが
繰り返されているからだろう


海と繋がっている

空調機が
遠いはずの海風を
一瞬吐き出し
縮こまった手足を
自由に浮き沈みするひれに変えようとする

そこから拡がった海は
永遠のように鳴り止まぬ潮騒と
白く泡立つ波打ち際の
弾ける水の感触が
懐かしく
ただ母のようで

わたしは割れた貝殻の一片になりたいと願う


海と今日は繋がっている
波に忘れられた貝は
少し遠くへと連れ去る引き潮を願う




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