オマル・にせもの・ハイヤーム/AKINONA
 
花は咲き乱れ、酒は旨く
美しいお前が今宵、我が隣に侍る
さあ酒姫よ満たせ、この杯を
そして満たしてくれ、この胸をも

愛するのと愛されるのは
一体どちらが容易いのですか?
可愛い酒姫よ、己の胃にこう聞くがよい
卵と鶏、お前はどちらが消化し易いかい、と

さあこの杯に酌し、よく聞くが良い酒姫よ
愛という名の酒で強くなれるのは
もとからこの類の酒に強い人間だけなのだと
弱い人間には毒、たとえどんなに旨かろうとも!

失恋したのだ、と嘆くのは愚かなことだ
恋は失うものではないのだから
注げ酒姫よ、恋は失った瞬間に永遠に変わり
この胸を蝕みながら生き長らえてゆく羽虫

この世は確かに儚いかもしれない
だが酒姫よ、聞くが良い
花火は空をたった一瞬彩るからこそ美しい
もし常に空に留まればただの風景に成り下がる

神を信じることで殺し合った人間と
神を信じることで生きてゆけた人間は
どちらが多いだろうかと問うてくれるな
さあ酒姫よ注げ、いざこの不等号に酌するがよい
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