わたしは時々/嘉野千尋
 


  わたしは時々、石になりたい
  そして夜の一番暗いところで
  じっと丸くなり
  わたしの冷え冷えとする体に
  とても美しい夢を備え
  いつかわたしを拾い上げる者に向かって
  美しい物語を語ってやりたい


  わたしは時々、砂になりたい
  そして海のとても深いところで
  旅を終え
  石であったわたしの
  砕けた四肢の
  その一つ一つに宿っていた
  夢のすべてを忘れてしまいたい


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