stillというよりnever/椎名乃逢
抱かれるのならホテルがいい。
貴方の部屋は厭。
ああ、このベットでこの人は、今まで私じゃない人を抱いてきたんだな。
と、不意に襲う切なさが貴方の元から私を奪うから。
軋む音は飲み込んだ泣き声のように脳を満たす。
抱かれるのならホテルがいい。
目まぐるしく入れ替わり立ち替わる、只の客の中に、私も貴方も埋もれる事ができるでしょ。
貴方の匂いのない部屋だけど、だから貴方の過去の香りもない。
ああ、なのに鼻の奥がしめつけられて、涙が止まらなくなりそう。
早く私からたちのぼらせて、早く、早く誤魔化して。
戻る 編 削 Point(4)