午後といのち/木立 悟
つづくふるえ
つづくからだ
水紋は光に変わり
散ってゆく
何かを燃やす夢からさめて
手は緑にくすぶっている
灰のなかに芽吹くもの
誰が蒔いたか知れぬ影
金の野の端
小さな手に触れ 生まれる揺れ
やがて波になり 野を覆い
ふたたびひとふさの穂にもどる
季のさかいめのむらさきに
花びらの川をさかのぼり
流れのかたちの残雪に点る火
あらゆる熱さにゆらめく火を見る
水はどこまでしみとおるのか
紙はまるく濡れている
光を流す風の手管
木の壁にふたつたなびく煙
きまぐれにたわわにいのちは湧いて
まなこに沈む陽と熱を知る
くらがりとまぶしさと午後まわす午後
空馳せるもの呼ばわるうたうたう午後
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