誰かが君を責めていた時/若原光彦
居ると誰もが苛々した
必ず気まずい気持ちになった
無視できる奴は無視するしかなかった
当たるしかない奴は当たるしかなかった
みんな徐々にすさんでいった
君は憎しみを引き出していった
みんなを汚していった
君がみんなを悪人にした
でももう
何年も前のことなんだね
ねえ君
元気にしているだろうか
とりあえず無事だろうか
今もどこかで責められ続け
笑われ続け
避けられ続け
忘れ続けられているのだろうか
僕の知ったことではない
憶えておくがいい
すまない
君のことは忘れない
忘れたことなどない
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