『僕は蝉時雨に幻聴を聴く。』/クローバー
 
世界の色に 少し気付けるようになった頃

夕立が止みはじめている
負けじと鳴いていた蝉時雨が 世界の全てだったとき

君は僕のバイトの帰りに合わせて 電話をしてきた

君は君に今日あったことのほとんどと
今の状況 
そして
がんばりすぎて倒れたこと
救急車にはじめて乗ったこと
を話した
蝉時雨は君の声に世界を奪われていた

僕はもう友達の君の話を 友達として聴くよう努め
無理するなよ 僕に話したらいけないよ 帰って来いって言っちゃうから
と言った
(そして その度に僕が、後悔してしまうのを、君は知らないでしょう)

君が泣き始める そして言う
「淋しいよう
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