海に向かつて/杉菜 晃
南極で王樣ペンギンを見たよ。
王樣は一人 いや一匹だけかと
思つてゐたら
何匹もゐたよ。
何千何萬のペンギンが
みんな王樣なんだ。
王樣の王樣がゐるわけぢやない。
みんな同じ王樣なんだ。
名前が王樣ペンギンなんだから
どうしようもないんだ。
その王樣たちが揃つて海の方を
向いて立つてゐる。
王樣が揃ひもそろつて
みんな海のはうを向いて
待つてゐるんだ。
避難民が救ひを待つみたいに。
そこにぽつんと機影が現れる。
ジエツト機は見る見る迫つてくる。
あつといふ間に目の前に來てゐる。
頭上を通過するときは大変だ。
ずつと眼で追つていつて放さ
ないものだから
みな後ろにぶつ倒れるんだ。
水搔きのある足を天に向けて
いつせいに王樣がぶつ倒れるんだ。
もしそれを
上から?樣が見てゐたら
?樣のはうがぶつ倒れるね きつと。
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