手つかずの死/
カンチェルスキス
誰もいない電車の中
話し声が聞こえる
複雑に絡みあう心電図のリズムがぶつかっては弾け
私を切り刻む
邪な水位が胸の辺りまで
満たしはじめ
私は錯乱の消火器の底で
いつになく正しく
音が途切れるのを聞く
私は手にしているものを離す それが頭上に浮かぶ
日除けから洩れた夕日の末端が歪み震えながら
安息をもたらし
まわりを何も映すことのない鏡に変える
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