青空の歌/明日殻笑子
見慣れた図書室の窓際の
むこうに描く景色は今日も
砂埃のようにきみの魂を舞いあがらせる
あの夏の夜
冷たい暑さに痺れた頭で
青空の歌を歌ったぼくを笑いとばしたきみが
寝ころんだ芝の若草で
手首が切れればと思っていたなんて
飼い犬に向けて吹いた笛のような
強くか細い どしゃぶりの悲鳴
急行列車からトランス電波
理科室 保健室 体育倉庫で見つけた縄跳び
晴れてかわいた放課後の屋上は
青く皮肉なほどにぼくの歌を思い出しては
足のすべる柵だと 頬杖をついて息をしていた
ねえあの日
何がきみをつきとばして
何が跳び箱を片付けわすれて
何があの柵を錆びつかせて
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