乾いた季節/肥前の詩人
 
 蛍の乱舞も終わり
 蛙の鳴き声が
 闇に響く 里山
 闇の向こうは
 華やかな都会の光が
 人々を惑わす

 未来が視えにくい 今
 なにかにすがりたくても
 それさえ 見出せず
 禁断の扉を開けてしまった
 少年たち

 いい子だったのに
 おとなしい子が 信じられない
 兄弟を 両親を
 無造作に 闇に葬る 今
 ゆらゆら 揺れる 薄い胸
 よろよろ よろける 小さな大人たち

 確かな 明日の光が ほしい
 手ごたえのある 道が ほしい
 柔らかく包んでくれる
 愛が 欲しい

 今の 季節
 街も 村も 乾いている
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