鎮魂歌/AKiHiCo
 
真夜中に目が覚めたので
寝台から起き上がり
カーテンを開けてみました
横で呼吸をするキミの頬に
月が創り出した環が
ワルツを踊ります

キミがずっと
夢を見続けている姿は
まるで人形のように
翳りのない美しさで
僕を繋いで離しません
月光の粉が長い睫に刺さり
きらきらと静かに

部屋の灯かりを点けないこの部屋は
月明かりだけで満たされてゆきます
そっと悲しみを汲み取る星達の囁きが
僕に勇気を与えてくれるのです
もう抗う必要はないのだと
傍にキミを置いておく必要もないのだと

僕を解放させてほしいのです
何もかもを許してくれるような蒼い光
部屋をキミを
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