シャワー/紫翠
 
湯気に包まれた
身体から流れ 流れ落ちていく
私のすべて シャワーに溶けて
生まれ変わる お月さまのように

もしも このまま

魚になって
排水溝へ吸い込まれ
名もない海に
泳ぎだせたら

空気になって
不思議だった
昨日の夜空に
溶け込めたなら 

漂って
ぽかり ぽかり
と、息をして
どんなにか 自由だろう


あなたへの恋も
すべてと一緒に流れてしまったけれど
魚になれない
空気になれない
おんなの私
生まれたての身体に 
湧きあがる切なさは
また あなたの匂い


だからこうして
死んでは生まれる私のことに
あなたはきっと 気づかない

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