我が処女へ/音阿弥花三郎
 
荊棘(ばら)を摘む掌のなかにだけ朝はある
  そのまへの夜そのあとの夜

     *

駆けている 少女は服をぬぎすてる
  むねにはことば あしあとはきへる

     *

びー球の緑の昼と青の夕
  小鳥たちは死ぬ しょうねんの匂い

     *

鳥は堕ち記憶を床に塗りこめる
  女の探す刃のないナイフ

     *

歌声がおんなの口からもれている
  手は壁をなで乳房をさがす

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