ある夜/
かや
気付きを渇望していて
それは同時に恐怖でした
目を閉じれば蛙の鳴き声が
聞こえます
顔を覆う手に雨が降ります
砂漠の真中に 街灯の隅に
泥まみれのまつげが
ひとり世界を睨むとき
与えてください
一本の緑木を
一匹の野良猫を
ただそれだけ祈る
期待させる慰めは
陥れるための
寄り添う毛布のなか
優しい全てに背を向けたら
嗚咽を堪えて知る
孤独
星は見えそうにもありません
誰も知らない
五月のある夜
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