トパーズと六月/銀猫
 
梅雨の晴れ間を狙って
そっけなく届いた封筒が愛しい

きみが指を強く押し付けたはずの
テープをもどかしく剥がす、剥がす
剥がすと

草色の便箋に並んだ文字が
少し潤んだ懐かしい声に変わって
こころがトパーズ色を隠せない


誰にも黙って
白い白い殻のなかで
冬のときを過ごし
時折呼びかける誰かに返事もせずに
胎児の羊水に隠れていたきみが
眼を覚ました
六月

もうとっくに春も過ぎたし
怖い夢はもう見ないよ
あたたかい名前を
もう一度呼ぶよ

呼ぶよ

雨の匂いの街から


                

                      (六月生まれのきみへ)

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