鳥人間コンテスト/
ZUZU
それはH君だったのかもしれない
名古屋からだったのかもしれないし
どこか知らない土地の工場からだったのかもしれない
ポケットに「わが闘争」
だれもつかまえられないライ麦畑まで
だれにもつかまらない飛行機で
いまきみはいっしょうけんめい
ペダルをこいでいるのだ
鳥人間にどうして
コンテストなんてひつようだろう
飛べるひとは飛ぶ
ただそれだけのことだ
そしてH君は飛んだのだ
だれも知らなくてもぼくだけは知っているのだ
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