真夜中/
AKiHiCo
真夜中の台所
コップに水を湛えて
ビィ玉をひとつ
覗き込めば世界が歪む
逆さまの僕
蛇口を緩く締めたせいで
だらしなく滴る水道水
ハァプが奏でるメロディが
よく似た音が僕の耳を
悲しく埋めてゆく
掌を傾ければ
するりと落ちるビィ玉
水冠を作って底へ
こうしてまた僕から
離れていってしまった
拒まないで
月明かりが差し込む台所
蒼白い光の筋が床に
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